子どものころ、将来は営業になりたいと思ったことなど一度もなかった。これはもう、私の気取った考え方のせいだ。当時は営業という仕事そのものを見下していた。営業の人に抱いていた印象といえば、誰も頼んでいない物を押しつけ、何やら魔法でも使ったように契約から抜けられなくし、3通目のメールが来るころには嫌な気分だけを残していく、そんなものだった。だから2021年、物流スタートアップのカスタマーサクセス職を辞め、なぜかフィンテック企業でSDRをやることになったときも、最初の6か月は罰を受けているような気持ちで働いていた。
2、3四半期も経つと、営業を嫌ったまま営業の面接だけ切り抜けようとしても無理なのだと分かった。期待するだけでは作戦にならない。運でどうにかなる話でもないし、採用担当から折り返しが来るのを待つという選択肢もなかった。そこで腹をくくって取り組んだ。パネル形式のポッドキャストを片っ端から聴き、以前のMBA同期2人と模擬面接をして、そこで覚えたことを翌朝には試した。うまくいった回は少ない。失敗した回は、それよりずっと多い。何度も試しては外し、最終面接で2回落ち、基本給が前職より低くて断らざるを得なかったオファーも1件あった。そんな経験を重ねるうちに、次の連絡が来る面接と、そのまま音沙汰がなくなる面接を分けるものが少し見えてきた。専門家が書くガイドなどではない。実際の選考で拾った、いくつかのメモだと思って読んでほしい。
教訓1:聞かれた質問にそのまま答えない
「優秀な営業ならエスキモーに氷だって売れる」ということわざは、営業を説明する言葉として最悪だし、パネル面接まで台無しにする。始めたころの私は、どんな質問も額面どおりに受け取っていた。面接はだいたい、こんな調子だった。
採用責任者:失注した案件について教えてください。 私:はい。Q3に、ミッドマーケットの6万ドルの案件を失注しました。商談の途中で、買い手側の予算が凍結されたためです。 採用責任者:分かりました。では次の質問です。
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Try InterviewMan Freeもちろん相手は、クローズドロストになったCRMの1行を読み上げてほしいわけではない。では、あの質問にほかの意味があるのか。そう思っていたが、ずっと私が間違っていた。やがて、聞かれた言葉の奥にある質問へ答えるようになった。「買い手のせいにせず、自分のパイプラインを診断できるか」という質問だ。案件が死んだのは4か月目の調達段階ではなく、1週目の見極めの時点だった、と話す。そして見落としたシグナルを、ぼかさず具体的に挙げるようにした。
教訓2:売り込もうとしない
昔ながらの面接対策では、面接官を見込み客に見立て、実際の見込み客と同じように扱う。だから、その会社で働きたい気持ちを強く見せ、受注案件の話を次々に出し、達成率を前面に押し出せば、興味を持ってもらえることはある。営業として染みついたこの習慣に逆らうのは難しい。ただ、営業責任者は四半期ごとに30人の候補者を見ている。こちらの売り文句など、4人目までにもう聞き飽きている。私がしたかったのは、その部屋で採用責任者に「自分は頭が切れる、ほかとは違う」と感じてもらうことだった。こちらの営業トークを受け止めるだけの相手にはしたくなかった。
診察室に入ってすぐ、医師から「私が得意な手術はこの5つです。あなたはどれにしますか」と言われたら、たぶん信用できない。医師の助言を聞くのは、その人が医療の専門家だからだ。これと同じで、私は面接でも診断する側に回ろうと考えた。診断する人は、いきなり売らない。先に聞く。
Series B企業のVPに最初の90日をどう進めるか聞かれたときも、私はすぐに計画を話さなかった。どのセグメントを担当するのか、今は立ち上がりにどれくらいかかっているのか、計画に対するパイプラインのカバレッジはどこまで来ているのか。まず、そこを聞いた。するとVPは質問票を読むのをやめ、前の四半期に立ち上がりのどこでつまずいたかを話してくれた。
話を聞いてみて、実際にはクロージングよりパイプライン創出が必要な職だと分かれば、そちらに答えを切り替えた。新規ロゴ獲得ではなく、既存顧客への拡大が中心のときも同じだ。このやり方で進んだ面接が、折り返しにつながった回の半分を占めていた。
教訓3:誰にも聞かれていない指標を持っていく
営業の面接を受けると、数字の話は必ず出てくる。クォータ、達成率、平均契約額、勝率という感じだ。ほかの候補者も同じ数字を持ってくる。その中には、自分より数字が高い人もいる。
そこで私は、自分で「2回目のミーティング率」を記録することにした。初回の通話が7日以内に本当のディスカバリーへ進んだ割合で、誰かに提出を求められた数字ではない。
ところが面接でこれを話した途端、面接官の質問が増えた。どうやって記録したのか。本当のディスカバリーは何を基準にしたのか。途中で落ちた理由は何だったのか。聞かれたのは、そのあたりだった。
面接から次の面接までの間は、InterviewManを使って模擬面接もやっていた。
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